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「ただいま、門司港」 ことじ編
カテゴリー:ただいま、門司港
ゲストハウスPORTO(ポルト)門司港

門司港には「ただいま」と言いたくなるような、いつでもあたたかく迎えてくれるお店がたくさんあります。

一度訪れただけで思わずお父さんお母さん、と呼んでしまう、そして気づけばまた会いたくなる。

そんなやさしい店主さんが待っているお店をご紹介する「ただいま、門司港」。

 

第一回目は、来年の5月に閉店が決まっていることじさんです。

 

 

創業45年の老舗で、門司港民のみならず、茶道の先生などからもお茶席のお菓子はことじさんでないと!というファンも多い、みんなに愛される和菓子屋さんです。

取材させてください、お願いすると、「忙しいのよー」と言いつつも、気づけば厨房まで招き入れてくれていました。笑

そんなお茶目でやさしいご主人と奥さまにお話を伺いました。

 

 

ーーー どうして和菓子屋さんをしようと思ったんですか?

ご主人 定時制でさ、だから就職しようと思って。職業安定所に行ってね。どんな仕事したいか?って聞かれて、なんか知らんけど「おかし作りたい」って答えてね。それがいまだになんでそう言ったのかわからんのよ。親戚にも兄弟にもおらんし。そしたらね、【力餅】さんに行きなさいって言われて。そっから始まったんよ。

ーーー 何年で独立されたんですか?

奥さま 29で店出してね…30か。

ーーー そのときご結婚はされてたんですか?

奥さま しとったしとった。

ご主人 してからやね。

奥さま 私もこういう仕事って知らんやろ、菓子屋さんって言われても。お見合いで聞いたときも、駄菓子屋さんかなって思ってたのよ(笑)。結婚して店出すまでこんな仕事って知らんやった。

 

 

そんな風にして出会ったご主人と奥さま。今では二人三脚、2人で仲良く【ことじ】を切り盛りするおしどり夫婦です。

ポルトでは、ことじの看板商品・銘菓『もじっこ』をゲストさんのウェルカムスイーツとしてお出ししています。

ことじ自慢の程よい甘さの餡とそのちょうどいいサイズ感で、何個でも食べれてしまいそうな魅惑のお菓子。

そんなもじっこについても聞いてみました。

 

 

ーーー どうして『もじっこ』と名付けたんですか?

ご主人 学校で発行される校内新聞があってね、教頭先生を主に取り上げた…それにね『もじっこ』っていう言葉が載っとったんよ。

ーーー へー!!

ご主人 もう店やるって決めてたからね。あーもし自分が店出したらお菓子にもじっこって付けようってね。

ーーー そうだったんですねー。

ご主人 それで、『ことじ』って言うのはね。

奥さま 笑。なんでも話すね。

ご主人 力餅に7年おってね、そのあと、東京に行きたくなってね。吉永小百合に会いたいのと…富士山にも登りたいので、辞めたんよ。それで九州を出てね、富士山には登ったけどね、吉永小百合には会えんかった。はっはっは

ーーー 笑

ご主人 新宿に『古都路』っていう喫茶店があってね。古い都の路って書いてね。いやぁ、ことじかぁ、いいなぁ、っち思ってね。それで『ことじ』にしようって。笑

ーーー 笑。でもピンと来るものがありますよね。

ご主人 ありますね。で、漢字でしょう、ちょっときついな、と思ってひらがなにしたんよ。

 

 

ーーー そうなんですね。ことじさんのもじっこのパッケージってすごいかわいくて素敵だなって思ったんですけどあれはどうされたんですか?

ご主人 あれはね、一応下書きを僕が和紙に書いて渡したら、線が細いから太くしましょうって言われて今の形になったんよ。

ーーー えっじゃあもともとお父さんが書かれたんですね!すごい!!

奥さま ああいうのは上手やったよね。センスがいいなぁと思った。印刷屋さんも褒めよったね。

ご主人 ほっぺたにつんつんというか、点々書いてね。

ーーー てっきり書ができる人に頼まれたのかと思ってました!

ご主人 いやいや、これでお願いしますって僕がデザインを渡して。それでできたんよ。

ーーー なぜ和菓子屋になりたかったのかいまだにわからない、っておっしゃってましたけど、実際やってみてどうでした?

ご主人 山で育ったからね、いろんな花とか見るでしょう。和菓子に向いとったね。色とか形がね、花びらが何枚あるとかね。全部わかるからね。

 

 

ーーー じゃあ直感は正しかったんですね。

ご主人 そうねぇ面白いけどねぇ、嫌な仕事やないね。

奥さま 自分で決めてお菓子屋なろうって言うくらいやけね。まぁよう働きんしゃあ。

ーーー 笑

奥さま それこそ娘が看護師でケアマネなんやけどね、一生懸命なんよ。お父さんに似たんやろうね。この道やね〜って言ってね。わたしはどっちかって言うとどっちでもいいもんね。笑

ーーー 笑。でも、そういう意味ではそれだけお父さんにぴったりな仕事だったってことですよね。

ご主人 どうかねぇ。

奥さま 好きとか嫌いとかじゃない…ね?やっぱこれで食べていけたけね。

ーーー もうやめることはまわりに伝えてるんですか?

奥さま ぼちぼちは言うてる。お茶の先生とかには早めに伝えとかんとね。

ーーー そうですよねぇ…

奥さま どっかでケリつけんとね。ずーっとやっていけるわけじゃないけんね。後もおらんし…2人で終わりやから…ずーっと守らないけん暖簾でもないし。

ご主人 辛いけどでもねぇ、ある程度余力を残しとかないとね…片付けないけんでしょう。

奥さま 終わってすぐ倒れたらおおごとやけんねぇ。やっぱり元気なうちにね。来年の5月まで一生懸命やります!

ーーー わかりました!泣 また買いに来ます!!

 

 

聞けば聞くほど、お二人で歩んできたことじの歴史の深さに、さびしい気持ちが募ります。

愛情を込めて和菓子を作り続けてきたご主人と、その愛情を汲み取って、しっかり店を守り、支えてきた奥さま。

ことじのお菓子が愛されるのは、その美味しさだけが理由ではないようです。

あと一年足らず、閉店は本当にさびしいですが、これからもポルトとして少しでもその美味しさやお店の魅力を伝えていけたらと思っています!

みなさまもぜひ一度ことじを訪れてみてください。

ショーケースの和菓子の美しさに癒され、奥さまとの会話に元気をもらい、ご主人の熟練の技が光る和菓子の美味しさに感動するはずです。

(インタビュアー・撮影:村田真知子)

 

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