
読めばきっと誰かに教えたくなるような、
滋養とロマン溢れる、バナナと門司港の話。
それは、レトロがまだレトロと呼ばれるずっとまえのこと。
戦後間もないころ、東南アジアから船でどんぶらことやってくるバナナは、それはそれは高級品で、
国境またいでここ門司港へやってきたバナナたちは、
荒波に揉まれ満身創痍、明日をもしれぬ姿で到着したものも多かったのだとか。
そんなバナナに最初に目をつけたのは、じつは
栄町銀天街で自分の店を営む粋な店主たちでした。
港についてから、船の上で痛みきって出荷できないようなバナナは
その場で売ってしまえ、ということでバナナの叩き売りが始まりましたが
それでも売りさばけないほどのバナナの量。
これをどうにか使えないかと考えた商店街の人々は
一人ずついくらか(きっと、当時の商店街の賃料より高いはず)を出し合って、
集まったお金で、バナナで門司港を盛り上げる活動をはじめました。
その様子に目をとめた、時の北九州市長はこの活動を全面バックアップ。
こうしてバナナは門司港を代表するお土産へと名を成したのです。
今までわけもわからず、バナナが門司港名物とうたわれていたことに首を傾げる人もいたのでは。
門司港の現在のにぎわいは、商店街の粋な店主たちなくしては語れません。
じつはバナナようかんは、
そんな門司港レトロ地区ができたばかりの頃から、おみやげ屋に並んでいたロングセラー商品。
ものめずらしさと食べてびっくりの美味しさに、
ここで売りませんか、うちに卸してくれませんか、と引っ張りだこ。
テレビ番組に紹介されたこともあり、大人気商品となりました。
けれどこのようかん、なんといっても一つ一つ手作り。
急いで作ることも、一度にたくさん作ることもできません。
そんなわけで、今も昔も、取り扱っているのはレトロにあるおみやげやさん1店舗のみ。
ポルトでは、ゲストさんがゆっくりと館内でくつろいでいただく間、
例えば、好評のセルフドリップのコーヒータイムのおともに、
バナナようかんをカットしてお出ししています!
数量に限りはありますが
1本1100円で販売もしております。お土産にもぴったり。
バナナとともに歩み続けた門司港の歴史に、思いを馳せながら味わってくださいね。
