ポルトクルーが休日に門司港を飛び出して、自由気ままに旅する様子を綴る『航海記』。
今回は、わたくし忽那が尾道に行ってきました!
さて、旅にでるときにまず決めること、それは宿。
最近では、自分が宿を選ぶときには「あぁ、みなさんもたくさんの宿の中からあれこれ悩みながらポルトを選んでくださってるんだなぁ」と感慨深くなったりします。
今回はしかし、尾道に行くなら!と心に決めていた宿がありました。
それがゲストハウス【あなごのねどこ】。
※すみません、さっそくですが外観を撮り忘れたので公式サイトから拝借
よく、初めてのお店で「どうやってうちの店を知ったんですか?」って聞かれるのですが、いいお店っていつの間にか知ってるんですよ。
自分でも気付かないくらいの勢いで惹かれて、ずっと心に留めちゃってる。
あなごのねどこはそんな場所のひとつ。
尾道に行ったことないときからその存在を知っていたほど、わたしにとっては憧れの場所でした。
まさにうなぎの寝床のような細長〜いつくり。(ちなみにあなごは尾道の特産品。で、“あなごのねどこ”。ナイスネーミング!)
入り口を入るとすぐに受付があります。
いや、これは受付というより、“帳場”って言いたくなる風情。
銭湯の番台のような、タバコ屋さんの小窓のような。
こういう空間ってなぜだか羨ましくなりませんか?
あぁわたしもそっちに座ってみたい。
そっちからの景色をわたしも見てみたい。
そんな羨ましい気持ちを隠しつつ正座で対面し、あなごのねどこの方と初コンタクト。
記入した帳簿を渡すと、「あ、門司港のゲストハウスで働いてるんですか。ぼく、門司港のなんだか変なお店に頼まれて絵を書きましたよ」と。
ピン、ときました。
『門司港の変なお店』と行ったら【大都会門司港】しかありません。
いや、正確には“しか”ってことはないんですが(門司港は変なお店の宝庫)、わかりやすく変なお店の筆頭であるのは【大都会門司港】。
その【大都会門司港】の絵を書いたってことは…
あなごのねどこ初代店長、そして漫画家でもある、つるけんたろうさん!
つるさんは空き家をタダで譲り受け、あなごのねどこの内装工事とデザインをされた方。
おぉぉ、この人が…!
と内心興奮しておりました。
だって、本当にステキな内装なんです。
建物自体面白くて、迷路のような、一筋縄ではいかないような、とにかくわくわくする構造なのですが、明かり取り?を囲むようなロの字型の図書室があったり、わたしが泊まったミックスドミトリーはテトリスのような複雑なパズルの中にベッドと本棚が組み込まれているようなつくりになってたり。
そして各所の案内などに現れるつるさんのイラストもステキなんですよー
スタッフさんやお客さんが書いた絵も混在してて、それがまた絶妙なバランスで。
鼻息が荒くなるような、わたし的萌え要素が満載…!
わたしの期待を軽く越えてきたあなごのねどこ。
がしかし、今回は予定を詰めすぎてスタッフさんやゲストさんとの交流はできず、、
また必ず舞い戻って、次は時間の許す限りゆっくり宿で過ごしたいな、と思っております。
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わたしにとって好きな街のひとつである尾道。
何度でも行きたくなる素敵なお店が多いのに、行く度に新しく気になるお店も増えてるという、、ジレンマ。
厳選に厳選を重ねて今回訪れたお店をご紹介します。
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あなごのねどこへの細長い通路の、さらに奥にあるのが【本と音楽 紙片】。
ここはわたしが尾道を訪れると必ず立ち寄る場所のひとつ。
まぁなんていうか、シャレオツです。センスがパナい。
今回、写真をブログに載せてもいいですか?と尋ねるため店主さんに話しかけたのですが、お洒落でありながらとても話しやすいという!ネ申ですか!
お店自体もそんな感じ。
おしゃれで気圧されそうなのに、ところがどっこい、とても居心地がいいのです。
置いてある本は、どのジャンルも気になってたもの、気になるものばかり。
ここはほんと、いつ来ても「なんてわたしの好みにドンピシャなんじゃ~」とわなわなするくらい本の品揃えが💯。
“本と音楽”だけあって、CDもたくさんあり(試聴もできる!)、しかもただならぬミュージシャンばかり揃ってます。
(「くぅ~わかってるねぇ!」といつも心の中で👏)
ちなみに紙片さんがつくられた音楽集があるのですが、そちらのデザインは門司港の【muna】さん!
ここでも門司港につながって、うれしい限り。
さて、お次は初めて立ち寄ったカフェのご紹介。
今回は【食卓ソエ】、【LOG】、【satie coffee】におじゃましました。
【食卓ソエ】さんは今年7月にオープンしたばかりのお店。
小倉から移住され、今は尾道で活躍されているアーティストのnuttsponchonさんのInstagramで知りました。
こちらの内装もセンスがほとばしります。
雲をモチーフにしているという照明がとても素敵。
ランチも美味しそうだったのですが、ランチタイムに間に合わずプリンをいただきました。
これがまた美味!
こんなに大事にプリンを食べることないかも、ってくらい、ひとくちひとくち味わっていただきました。
店主さんもふわっとしてとても素敵な方で。
一人旅では、立ち寄ったお店の方が朗らかだとほんとに救われます。
ゲストハウスのスタッフとしては、そこはしっかり噛みしめました。旅先での学び。
【LOG】さんは宿でありながら、カフェがあり庭園がありギャラリーがあり、公共性とプライベート感を持ち合わせたなんとも面白い施設。
ちなみに、100段ほどの階段を登らないとたどり着けないので、車でのアクセスは不可。
そんなところも特別感があってニクいなぁ。
もちろん、カフェからの眺望は最高。
リゾート地に来たような気分で、瀬戸内の柑橘などがふんだんに使われたメニューが味わえます。
いいね、尾道。
【satie coffee】さんは不定休、と聞いていたのでドキドキでしたが、開いてました!
そして、今回尾道に住んでいる友人に連れていってもらったのでたどり着けましたが、な、なんじゃこりゃ!っていう場所にあります。
友人に「あそこだよ」って示されても、「え?」って言いましたもん。疑いのこもった声で。(ごめん)
そんな“嘘でしょ?”っていうような場所にあるこちらのお店、中に入ってさらにびっくり。
お店への扉が異世界につながっているかのように、まるでタイムスリップしたような気持ちになる店内。
なんていうか、世界がセピア色に見えます。
お店に飾ってあるひとつひとつもとてもこだわっていて洗練されているのですが、コーヒーにも同じことが言えます。
好みを聞いてくれてそこから丁寧に丁寧に淹れてくださるコーヒー。
店内には豆のいい香り…
なんだろう、気づいたら勝手ににやにやしてました。
一杯のコーヒーをゆっくり飲める時間がある人生は豊かだ、って誰かが言ってたな。ほんとそれ。
コーヒーのことなんててんでわからないわたしでも「あ、美味しい」と思うコーヒーでございました。
他のメニューも気になる。
そして最後に、今回の旅の目的のひとつでもあったお店をご紹介します。
【古本屋 弐拾db】さんも、わたしにとっては“尾道に行ったらぜったい行かなきゃリスト”に入っているお店。
古い建物好き、かつ廃校や廃病院に萌え萌えしてしまうわたしにとって、初めて訪れたときにゃあ、口を押さえてないと歓喜の声がもれてしまう!!というくらい、興奮してしまいました。好きすぎて。
心の中では「ありがたや~ありがたや~」と誰にかはわからないけれど感謝の念を唱えてたくらい。
で、そんな弐拾dbの店主である藤井さんが、ある日突然、ポルトに泊まりにきてくださったのです。
もちろん、わたしがそんな偏愛を寄せているとはつゆも知らずに。
わたしは大変に感激して、「また尾道に行ったら必ず寄ります!!」と一方的に愛を押しつけて藤井さんを見送ったのですが、宣言通りに早々に押しかけた、というわけです。
(ちなみに今回、弐拾dbに行くためだけに尾道を訪れたわけではなく、ウシオチョコラトルのA2Cさんの引退パーティーに行く、という大義名分があったことだけは伝えておきます。ストーカー、ダメ。ゼッタイ。)
いつも旅のスケジュールや友人と同行してる関係で深夜営業におじゃましたことはなかったのですが、今回は一人旅だったので、思う存分“深夜の本屋さん”を堪能しました。
旅先なので背徳感をたのしむような気持ちだったのですが、でもこれ、もし近くにあったらつい毎夜毎夜逃げ込んでしまいそうだわ。
藤井さんは相変わらず癖になる面白さを持ち合わせた方でした。またポルトにもぜひ。
(あ、ちなみに藤井さんは【あなごのねどこ】のスタッフもされています。あなごのねどこのスタッフは、他のゲストハウスに泊まるのは経費でよいそう。いいなー!聞いた?菊池くん。「ゲストハウスに泊まるのは経費でいいんだってー!!」)
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そんなあっという間の尾道、翌朝のあなごのねどこの朝食は、併設の【あくびカフェー】にて。
ここもまた学校を模していてたまらない内装なんだよなぁ。(好き)
朝食を食べたら出発。
ですが、尾道はもはや、「行ってきます」と言いたくなるくらいにすっかりなじむ場所となりました。
またすぐ帰ってくるね!